血液が不足しています

スーパーで土日に成分献血できますよー」と献血とかしにくるバスとかありますよね。

 

なんの成分測るのかガンマなんちゃらとか血中コレステロールとかゲッター線だかを測るフリをして

「血液が今不足しているんですよ」

「特にAB型が不足しています…」

と情に訴えた潤んだ眼でナース服が見てくる。あれは不思議であの看護師さんは絶対見ただけで「あ、こいつAB型じゃね?」なんて見極められる血液眼(そんな言葉はない)とか先祖代々受け継がれてる一子相伝の血液型判定眼を持っていると思っている。

だってそうでしょ?人が溢れるくらいいるのに今必要としている血液を鋭い観察眼で見抜いてるんでしょ?

 

「あごにホクロがあって手の甲にバラのアザがある人は十中八九AB型」(想像)

 

とか先代のおばあちゃんから

「何度言ったらわかるんだい!このトンチキ!」

「ああ、ごめんなさい!おばあさま!」

などと1メートルぐらいの裁縫の竹定規かなんかで太ももとか叩かれながら

「この!この!この痣を見るたびにAB型の特徴をおもいだすがいいさ!」

と痣が出来るまで太もも叩かれたりして覚えていくはず。(想像)

 

父ツヨシは

「頑張るんだよ、カオリ」

とか柱の影から見てそう(想像)

「ああ、あなたやめさせてあげてください!カオリが!カオリが!」

止めに入ろうとする母キミエを後ろから羽交い絞めで父は

「進むも止めるもあの子の本質次第!我慢しなさい!」

とか止めてそう(想像)

 

のちに研ぎ澄まされた血液眼をもつ看護師カオリが俺の方を見てスカートで隠されているあの時の痣が疼きだして(想像)

「絶対AB型だ」と確信するんだ(想像)

 

どうぞーなんて優しい言葉で俺をバスに連れ込むんですよ。この笑顔は

「あの時父ツヨシが母キミエを羽交い絞めして止めなければ私もこんな仕事を・・・」

とか絶対思ってるに違いない若干暗い笑顔(想像)

 

「あの羽交い絞めの時に父ツヨシと母キミエが燃え上がって出来た弟がもし妹だったら私はこんな仕事をしていないでしょう!憎い!おばあ様が憎い!」

って俺の腕にゴムバンドをギリギリッと締め上げてそう(想像)看護婦さん痛い!痛い!って俺の悲鳴でハッと我に返ったりしそう(想像)

血液を取り始めるとAB型なんですよ。そうするとシモバタケ先生が「カオリ君、君は凄いなぁ。今度の方もAB型だよ。これで僕の成績も上がる。君にもおいしい思いをさせてあげれるよ」とか言ってそう(想像)

 

 

のちにカオリは軍看護師になって血液型がわからない負傷兵をドンドン戦場で助けていく事となる(多分これはテコ入れシーズン2)