「XYZ 連絡をまつ」
みんな大好きシティーハンターだ。Netflixで最新作として実写が公開された。全世界で人気ですよね。そういう僕も結構好き。
どれぐらい好きかというと最新のアニメ劇場版も劇場で見たしフランス版もみた。今日からNetflixのを朝の誰も起きてない時間を見て細切れで見始めた。
そしてかの有名な「ジャッキー版」のシティーハンターも劇場でみた。
ジャッキー版、よくYouTube等で春麗のコスプレ姿のジャッキーがショートで流れたりして「クソ映画」みたいな扱いになっているが、多分みんなが想像するほど悪くない。ジャッキー映画してたら面白い部類に入る。ポリスストーリーREBORNよりよっぽど面白い(REBORNは最後のハンチモーだけ見どころ)ただしシティーハンターではない。ジャッキーチェンの映画だった。
1993年、僕が丁度社会人になった時、学生時代の様に毎週の様に映画館に行っていた時代の最後の映画が「ジャッキー版シティーハンター」だった記憶がある。
高校生当時「映画を一緒に見るだけの友達」がいた。
「このクソ映画、一緒に見ませんか」
今池の映画館の前で女子高生に声をかけられた。ナンパだ、これは逆ナンて奴だと思った。オイオイ、高校生になったらいきなり春が来たのかよ、と思った。
その時映画館の手書きの大きな看板を眺めていたと思う。タイトルは何か忘れたけど確か「コックと泥棒、その妻と愛人」だった様な記憶がある。
(´-`).。oOああ、多分コックと泥棒とその妻と愛人の話なんだろうなぁ…と思って看板を見上げていたんだと思う。
「で、多分クソ映画だと思うんだけど一緒に見ませんか?」
その女子高生は言う。
「宗教の勧誘とかのでは無くて怪しくないです。私んち、家の壁に映画の宣伝看板を付けているから映画館のチケットが毎回くれるんだけどペアで送られてきて。」
「家族も映画に興味がないのと、未成年だからチケット屋にも売れなくて」
「看板見上げる顔をみていたら『クソ映画なんだろうな』という顔していて面白かったので声をかけてみました」
なるほど価値観。
それから奇妙な関係の友達として新作が出るたびに映画を見てその後軽食をして感想を言い合って解散するという仲が4年ぐらい続いた。
映画の趣味というか、感性が近い人と見た後にコーヒー飲みながら感想を言い合うだけという面白い友達だった。
「ジャッキー映画だったな」
「ジャッキー映画だったね」
「シティーハンターじゃなかったな」
「シティーハンターじゃなかったね」
多分彼女と最後に交わした会話だったと思う。
元々連絡先を教え合い待ち合わせをする付き合いではなく、ここの映画館の封切り最初の日曜の初回に映画館前で会ったら映画をみる、という決まりしかなかったから、日曜休みじゃなくなってから疎遠になってしまった。
最近、久々その映画館の前を通り過ぎたらまた出会ったりするかもな、なんて思ったけど映画館自体がもう無くなっていた。
最寄りの駅の掲示板に「XYZ 映画館の前で待つ」って書いたら出会えたのかもしれない(掲示板があればの話だが)